研究紹介&インタビュー|M1田保編 (アルミ二ウムめっき)

 

こんにちは!WEB担当の亀水 (M2)です。

研究紹介第三弾はM1の田保くんへのインタビューです。

それでは早速始めていきます。

 

~目次~

  1. 研究内容のご紹介
  2. 研究室生活の楽しい所・大変な所
  3. 研究以外で力を入れて取り組んでいること
  4. 後輩へメッセージ

 

研究内容のご紹介

インタビュアー
こんにちは、今日はよろしくお願いします
田保
こちらこそ、よろしくお願いします
インタビュアー
早速ですが、田保さんは今、どのような研究をしていますか?
田保
現在、私はアルミニウムめっき反応中の液中イオンの電極表面形態について研究しています
インタビュアー
詳しく教えて下さい
田保
アルミニウムめっきは材料に高い導電性や高比強度、そして酸化皮膜による高い耐食性をもたらします。そのめっきには、容易に膜厚の制御を行え、かつ複雑な形状のめっきも可能な”電解めっき法”という電気化学的手法が用いられます
田保
しかし、アルミニウムの標準電極電位は水素発生電位よりも卑であるため、電解浴として水溶液は使えません。そこで、『イオン液体』というイオンのみからなる液体を用いてめっきを施すことが最近注目されています
インタビュアー
イオン液体を用いるメリットは何ですか?
田保
電解めっき法でアルミニウムめっきができる他に、室温付近でめっきが可能なのも大きいです。またイオン液体は蒸気圧が低く、広い電位範囲で電解を行えるので、多種多様な条件でめっきを材料に施せます
田保
ただ、イオン液体と水溶液は液中の環境が大きく異なります。これまで水溶液系で得られてきた知見であっても、イオン液体にそのまま適用できるかといったら決してそのような事はありません。そのため、イオン液体中でアルミニウムめっきを行うにあたり、電気化学反応に伴うイオン液体の液中挙動を調査する必要があるのです
インタビュアー
イオン液体の弱点は何ですか?
田保
イオン液体の種類によって異なりますが、私の用いる試料の場合、吸湿性が高いことが弱点です。電解液のイオン液体が水分を吸うと意図せぬ副反応を引き起こす可能性があります。大気中でのアルミニウムめっきの実施は困難であり、水分量の低い環境で実験を行う必要があります
田保
そこで、試料を大気に触れさせず実験できるグローブボックスを活用します。スペースの都合によりグローブボックスで行えない実験は、筑波の国立研究所内にあるドライルームまで行って実験を進めます
インタビュアー
田保さんの研究がさらに進むと社会へどのような影響をもたらしますか?
田保
私の研究はイオン液体の電気化学的挙動を調べる基礎的なものです。得られた研究成果はアルミニウムめっきの精度を高めるのはもちろんのこと、他金属のめっき原理の理解にも大いに役に立つと考えられます

 

研究室生活の楽しい所・大変な所

インタビュアー
では次に、研究室生活の面白い所や難しい所についてお伺いします。まず、面白い所はどんな点ですか?
田保
2つあります。
一つ目は、研究室が活気に満ち溢れており、居るだけで楽しい点です。私の取り組んでいる研究は難度が高く、上手く行かない場合が多くて気分が沈み込みやすいです。筑波へ実験をやりに行く際は一人で出張するため、寂しくて話相手が欲しくなる時もあります
田保
しかし、ひとたび学生部屋に戻ればすぐ元気を取り戻せます。同期や先輩、後輩がみな仲の良い研究室なので、誰気兼ねなくしゃべりかけて元気を貰ったり、逆に元気がなさそうな人を見かけたら積極的に話しかけます。環境材料学研究室は皆が楽しい気分で研究を進められる賑やかな研究室だなと感じます
インタビュアー
研究に関する悩みを一人で抱え込まずに済むのは魅力的ですね。二つ目の楽しい所は何ですか?
田保
実験が難しい分、成功すれば非常に嬉しい所です。かなり精密な実験をやっているので再現性の確認がとても難しいです。また、参考になる先行研究が少ないため、得られた実験データをうまく説明する理論の構築にいつも苦戦させられています
田保
しかし、もっともらしいデータを得られた時やデータをうまく説明する考察を思い付いた時は (やったぞ!)と嬉しくなっちゃいます^^。こうした達成感を味わえるのも科学実験の大きな魅力ですね👍
インタビュアー
一方で、研究室生活の中で大変なことは何ですか?
田保
一番は、実験が高難度のため、結果がそう簡単には得られない所です。仮に実験に失敗したとして、
・何を間違えたのか?
・どうすれば次は上手く行くのか?
・どこに改善の余地が残されているのか?
こうしたことを考えていくのですが、私の実験は考えるべき因子が多岐に渡るため検討ポイントが数多く存在します
インタビュアー
その数多くあるポイントの中から一つずつ条件を変え、実験が上手く行くまで試行錯誤を繰り返すわけですね?
田保
そういう事です。泥臭い作業が多いため心が折れそうになる時も偶にありますが、そんな時は仲間と喋っていち早く気分転換するよう心掛けています
インタビュアー
ちなみに、研究を進めるにあたって大切にしていることは何ですか?
田保
分からないことや疑問点をそのまま放置するのではなく、調べたり他の人に聞いたりして解決してしまうことです。分からないまま放っておくと考察に深みを持たせられず、加えて学会発表など学外の発表の場で質問に答えられない可能性も考えられます。不明瞭な点はいち早く解決して理解を深めるようにしています

 

研究以外に力を入れて取り組んでいること

インタビュアー
田保さんが研究以外にやっていることはありますか?
田保
まだやったことのない事にチャレンジすることです。学部時代はアイスホッケーを頑張ってきましたが、これから卒業までの間に未経験のスポーツへ沢山挑戦してみたいです。そして(もう十分だ)と満足できるところまでやり込んでから就職したいと思っています
田保
たとえ興味がなかったものでも、実際に見たりやったりしてみると(面白いな!)と思う場合があります。また、一歩踏み出して新たな発見を得られると、研究についても”違う分野の論文を読んでみようかな”と前向きな気分になり、思わぬ角度から新たな知見を得られる場合があるのです
インタビュアー
チャレンジ精神は一生大切にしていきたいですね。田保さんは卒業までにあと何にチャレンジしてみたいですか?
田保
色々あります。まずは部活生時代にやっていた筋トレをもう一度真剣にやり込み、体を鍛え直したいです。次に学会発表を頑張ります。これは卒業要件を満たすためです笑
インタビュアー
それは早くやってしまわないといけないですね笑
田保
最後にひげ脱毛もやってみたいです。毎日のひげ剃りから解放されたいのと、見かけの清潔感を高めるのが目的です
インタビュアー
色々チャレンジすることがあって楽しそうです。応援しています^^

 

後輩へメッセージ

インタビュアー
では最後に、今後環境材料学研究室へ配属される後輩に向けて何かメッセージをお願いします
田保
やりたい研究や興味のあるテーマを既に持っている人はその研究を選ぶのがオススメです。一方で、興味の対象がボヤけている人は結果が出やすそうなテーマを選ぶと心の安定につながります
田保
新4年生にどのようなテーマが割り振られるかはまだ良く分かりませんが、どんな時でも我々先輩がサポートするので安心して研究室へ入って下さい。新しい仲間と一緒に自分も色々なチャレンジが出来ればと思います^^
インタビュアー
今日はどうもありがとうございました!
田保
こちらこそ!